2013年9月27日金曜日

しずかな日々 椰月美智子著


椰月美智子(やづき みちこ)さんの代表作「しずかな日々」。この一作品で第45回野間児童文芸賞と第23回坪田譲治文学賞、2つを同時に受賞しています。同じ作品が別の賞をとるなんてことがあるんですね。

主人公が子供時代を振り返り、人生のターニングポイントとなった小学5年生の時のお話。スティーブン・キング原作の映画スタンド・バイ・ミーを思い出しました。

子供時代の「僕」は内気な男の子。訳あって祖父と二人暮しを始める。時間が止まったようなおじいさんの家での、しずかな日々、、、。

少年から青年への過渡期。早い子はそろそろ声変わりが始まる頃でしょうか。親友との関係、親との関係、そしておじいさんとの関係。ちょっとした冒険もあったりして、抑えのきいたストーリー展開の中にも緩やかな起伏があります。

胸がジワーっとあたたかくなる中に、ちょっとキュンとするせつなさを内包する作品。誰にでもこれと似たようなストーリーが、胸の奥に刻まれていることでしょう。久しぶりに心のアルバムを開かされることとなりました。

「あなたの人生のターニングポイントはいつですか」。人生は劇的でないと主人公はいいます。劇的ではなくとも100人いたら100篇の物語があるのが人生。いいストーリーでも悪いストーリーでも、それが自分の人生だと受け入れるしかありません。

5段階評価で4つ。みんな昔は子供だった。子供から大人まで、すべての人にオススメです。

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