2013年10月22日火曜日

死もまた我等なり/クリフトン年代記第2部 ジェフリー・アーチャー著



クリフトン年代記、待望の第2部です。

第1部終わりで「やったーアメリカに着いたー」と思った矢先、警察に拘束されてしまったハリー。その急展開に続き、今作はさらなるジェットコースターに乗ります。

ハリーは別人「トム・ブラッドショー」として裁判所に出廷、6年の実刑判決を受け投獄される。嫌な看守、親切な囚人仲間。その裏で婚約者エマはハリーの生存を信じ、単身ニューヨークへ乗り込む。エマの兄で親友のジャイルズは軍隊へ。母メイジーの躍進、本当の父かもしれないヒューゴーの暗躍。アメリカはヨーロッパ戦線への参戦を決め、そしてハリーの行方は、、、。

なんでしょう、とても面白いのですよ。アーチャーさんですから。当然の一気読み、なんですが、、、。

第2部に入り、ストーリーはお伽話度がさらに強まってまいりました。ハリー、エマ、ジャイルズ、メイジーの主要キャラクターはかなり強い女神さまに守られていると思われます。羨ましいぐらいに。第1部でもそういったご都合主義は随所に顔を出してました。それでもそれを納得させるだけの深みというか、奥行きが感じられたのですが、今作は「え、そうなの、そんな簡単にうまくいっちゃうの?」てな具合に、あまりに安直なのです。

そんな展開の中で光るのは、本書唯一の悪役とも言えるヒューゴー。とってもイヤな奴なんですけど、一番人間味のある血の通った人物となっているのが皮肉です。お伽話の中に出てくるただひとつの現実。彼の章を読むのも辛かったほど嫌っていたのに、180度転換して愛着あるキャラクターに変わってしまいました。彼にはとことんヒール役を演じて欲しかったのですが、、、。

第1部を読み終えた時「ケインとアベル」以上の傑作か、と期待に胸を膨らませたあの夜。いまはちょっとトーンダウンしております。イギリス本国ではすでに第3部まで出版されてるそうですが、何部で完結するのでしょうか。エマって「ロスノフスキ家の娘」のフロレンティナとかなり似てますよね?性格とか行動とか。

5段階評価で3つ。またもやいいところで話が終わります。この先、期待してもいいのですよね?


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