2013年10月10日木曜日

車谷長吉の人生相談〜人生の救い〜 車谷長吉著


以前ご紹介した「赤目四十八瀧心中未遂」の中でも触れました、車谷長吉さんの人生相談本「人生の救い」です。朝日新聞の土曜別冊beの人生相談コーナー「悩みのるつぼ」で掲載されていたもののまとめ本。これ日曜日だと記憶してましたが土曜日でした。

何人かの回答者がいる中で、車谷さんの回答は毎回鮮烈でした(車谷さんは月に1回の登場だったかと)。

運、不運で人生が決まるの?」相談者は、就職難に直面し生まれた年の不運を嘆く22歳の大学4年生。

それに対する回答は「世の中に運、不運はつきもの。不運を嘆くのは虫のいい考え、甘い、覚悟がない」と畳み掛け「この世の苦しみを知ったところから真の人生が始まる」とつづきます。さらに「真の人生を知らずに人生を終えてしまう人は醜い人。己の不運を知ったものだけが、美しく生きている」と結論づけます。

この手の相談の回答として「幸運と不運は表裏一体。禍福は糾える縄の如しという言葉もあるでしょう。 まじめに生きていればきっといいことがありますよ」なんてものを期待する人も多いのではないでしょうか。

対して車谷さんの回答は、一瞬救いのない回答に思えます。しかし心に迫ってくるのはどちらでしょうか。車谷さんはキレイ事ではない世の中の真理をついています。みんなの胸の奥にある、あまり触れてほしくない部分を、ナイフで抉るような言葉の数々。

車谷さんの言葉が心に響かない人は、きっとこれまで幸運な日々を過ごしてきたのでしょう。そういう人は読まなくていいと思います。

人生になんとなく行き詰まりを感じている人、これまで耳にした人生相談が「ちょっと違うよなぁ」なんて感じている人は、一度本書を読んでみてください。スッと飲み下せるかもしれません。まあそれは幸運な人ではない証になってしまいますが、、、。

5段階評価で4つ。前半は満点ですけど、後半なぜか踏み込みが甘いと感じるので。


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