2013年10月16日水曜日

まちがい言葉 おかしい言葉 宇野信夫著


宇野信夫著「まちがい言葉 おかしい言葉

宇野さんがすでに故人で、お亡くなりになったのはいまから20年以上も前のこと。私が宇野さんを知ったキッカケは山本夏彦さんの本です。どの本でどのように書かれていたのか思い出せませんが、宇野さんのことを絶賛しておりました。

宇野さんは戯作家。歌舞伎を書いたりするかたわら、エッセイも多数残しています。この本もそのひとつ。気の利いた言葉を紹介するとともに、巷の言葉の誤用を嘆いておられます。

『ら』抜けと『も』抜け」という話。以下抜粋。

___この頃もっとも耳ざわりなのは『ぴったり』ということを『ぴったし』という。『ぴったし』は日本語ではあるまい。それから『ら』を抜かす。例えば『見られる』を『見れる』___。テレビで『まだまだ食べれるぞ』と唄っている。これが全国に広まると『食べられる』がかえって間違いになってしまうような気がする___」。

この本が発行されたのは昭和63(1988)年。2013年現在、まだ「られる」が間違いとは言われてませんが、宇野さんの心配したとおり「れる」の侵食率はかなり高くなっています。そのうち「られる」は敬語だけにしか用いなくなるかもしれませんね。

あれは5年くらい前だったか、映画館のロビーでの出来事。隣に母子が座っておりました。しばらくして、子供がトイレに行くと駆け出し、母親がその背中を追いかけるように「〇〇、ひとりで行けれる!?」と大声で呼びかけました。私は思わず「えっ??」と声が出るほど驚きましたね。「」抜きだけじゃなく飽き足らず、必要のない「」を入れてしまうのかと。何事も「れる」と使わないと気がすまないのでしょうか。

5段階評価で4つ。血の通った日本語がいくつも登場します。


にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿